草野マサムネ、作詞のルーツは?ロック大陸漫遊記【作詞の師匠で漫遊記】を聴きました。

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今週は【作詞の師匠で漫遊記】。
松本隆さんは出てくるだろうけど、他は誰だろうと楽しみにしていた。

1.遠藤 ミチロウ

最初にかかったのが、ザ・スターリン率いる遠藤ミチロウさん。
マサムネさんの作詞のルーツはこの方から始まるようです。

高1の時に初めてバンドを組んで、そのうちコピーじゃなく
オリジナルをやりたいとなっても、曲はできるのに
(アイデアとかいっぱいあって、と話してました。凄いなあ)
歌詞をどうしたらいいかわからない。
そんな時、友達にスターリンのカセットを借りて、
「あー、こういうのもありなんだな」と
目からウロコだったと。
それからはスルスルと面白いように
歌詞ができるようになったそう。

それまで聴いていた歌謡曲っぽい
“惚れた、腫れた”みたいな歌詞ではなくて
まったく違う世界を教えてくれた。
背伸びして、歌謡曲的な恋の駆け引きの歌とか
メタルにありがちな悪魔とか地獄の歌とかでなくてもいいんだなと
気づかされたという。

遠藤ミチロウさんは、
美術家の奈良美智さんが大好きなミュージシャン。
奈良さんのツイッターによく登場するので
名前は知っていたけど、曲はほとんど知らなかった。

1曲目にかかった「たまねぎ畑」かなり独特で
難解な歌詞だったが、
今のマサムネさんを生み出してくれたんだなあと
感謝したい気持ちになった。

2曲目に「ゼルダ」というバンドの曲がかかり、
次にスピッツファンにはおなじみの「ブルーハーツ」の曲が
かかった。
そして、これもまた有名な“ブルーハーツの真似をしてたら
未来がない”と言われた話をしていた。

2.松本 隆

それでどうしたらいいかと思ったときに、まずアコギをもつ。
そして歌詞も見直していこうと、自分のルーツをさかのぼったら
松本隆さんではないかと思い、
子どもの頃好きだった原田真二さんの曲とか聞きなおした。
そして、松本隆さんの“小物づかい”を参考にしようと思ったと。
この “小物づかい” …マサムネさんが、作詞について語る時の
「重要ワード」だそう!

次にかかった『タイムトラベル』にも、
”サフラン色のドア”とか”下弦の月”とか
イメージをかきたてる小物ワードが
わんさか出てくる、ということ。

そして、平成以降のJ-POPによくある”明日を信じて”とか
”何かを探してどこかへ”とか、
具体的じゃない、ぼんやりした言葉(個人的に「観念ワード」と
言っているそう)ばかりで作られたら何も伝わらなくなる。
松本隆さんの歌詞は、そうならないようにするための
お手本でもある、と。

やはり松本隆さんは、マサムネさんに
とてとても大きな影響を与えた人だったんだなあ。

3.谷川 俊太郎

90年代初頭、スピッツもデビューが決まった頃、
現代詩も参考にしようと思って
ちょこちょこかじってたという。
谷川俊太郎さんの詩は、茶目っ気のある表現と、
雄大なスケール感が共存する感じで、
「二十億年の孤独」という詩が好きと話していた。
スピッツの曲「五千光年の夢」がオマージュしてたりすると。

ここで、谷川俊太郎さんの名前と「二十億光年の孤独」が
出てきてびっくり。

私も谷川俊太郎さんの詩が好きで詩集を何冊か持っている。
「二十億光年の孤独」はそのタイトルに魅了され、
本を買ったのだ。
あわてて本棚から取り出す。
あ~、マサムネさんもこの詩集持ってるよねえと
一人にやける。

二十億光年の孤独
4.その他の詩人

谷川さん以外にも、
草野心平さん。オノマトペ、擬音の使い方。
かえるの声とか、不思議な言葉を効果的につかっていると語り、
スピッツ初期の曲の歌詞「タンタタターン」とか「チーパ、チーパ」
とかが影響を受けてるそうだ。

山之口 貘(やまのくち ばく)さん、川崎洋さんの詩集も好きで
読んでいたそう。
山之口さんは初めて聞く名前だったので、
こちらも早速検索。
あー、読む詩集が増えていく。

ミュージシャンであり、音楽プロデューサーでもある、
スピッツと関わりの深い「石田ショーキチ」さんが以前、
マサムネさんの歌詞を「諧謔(かいぎゃく)性
(おもしろさと共感とが混り合った状況を描写する、
言葉または動作による表現)という
やや難しい言葉で説明してくれたことがあるそうだけど、
マサムネさん自身、そのへんを意識していきたいと。
バカバカしさとかユーモアとかちょっとおどけた感じ。
だけど直球で笑いをとりにいくのではなくてって
感じかなと話していた。

次の曲は アメリカのロックバンド「Pixies」の曲。
12歳頃から洋楽メインに聴いてきたマサムネさん。
このバンドの影響を受けたと過去のインタビューでも言っているそうだ。

5.銀色 夏生(ぎんいろ なつを)

次は大沢誉志幸の『そして僕は途方に暮れる』
スピッツとしてはデビューして3枚アルバムを出したけど
鳴かず飛ばずの状態。
何とか売れる歌詞を作らないとと思って、
松本隆さん以外で参考にしたのが
この曲の作詞をしている銀色夏生さん。

強いメッセージ性やストーリーがあるわけじゃなくて、
シュールでもないけど
雰囲気重視の言葉選びっていうか、
おそらく音楽マニアではないふつうの人の心もつかむ言葉選び
という感じがしたんだそう。
そんな銀色さんの詩集に影響を受けたそうだ。

特に、『これもすべて同じ一日』というタイトルの詩集。
今読むとちょっとくすぐったいというか、
イノセントな恋愛ポエムなんだけど
そんな中に、唐突に
メキシコでサボテンの針をなでた風が今日は風鈴をゆらす」とか
どこにも接してない一つの点」とか、
景色をガラッとかえる言葉がポンッと入っていて、
そういうのがメチャクチャ気持ちよかった…そうです。

マサムネさんがあげた歌詞の一部がとても好きだったので
その詩集をぜひ読みたいと思ってこちらも検索。

銀色夏生さんの名前は知っていたけど、
詩集は読んだことなかったので
マサムネさん絶賛の詩集はすごく楽しみだ。

最後、[ちょっぴりタイムマシーン]のコーナーでは、
サザンの原由子さんの『恋はご多忙申し上げます』がかかる。
若い頃サザンファンだった私は、
この曲が入ったアルバムを持ってるのでこの曲はよく知っている。
そう、そう、マサムネさんが言ってたように、
「愛してる~」じゃなくて
「愛・視点・ルール」となってるんだよね。

マサムネさんは”愛してる、よりもリズムにのせたい”と
いうことでこの歌詞にしたんではないか、と言っていた。
私も昔、歌詞カード見て、えっと驚いたなあ。

そして、
そういえば、マサムネさんの口からサザンや桑田さんの名前が
出たことないなあと以前ふいに思ったことがあって、
あんまり好きじゃないのかなあと、なんとなく思っていた。

そう、そう、歌詞というよりリズム重視だしね。
今回、「実はサザンや桑田さんの熱心なリスナーでは
なかったんだけれど、
今、ポピュラーソングを作ってる人間で、
直接的でも間接的でも
影響を受けてない人はいない」と断言していた。

今回の【作詞の師匠で漫遊記】は、マサムネさんのいう[自分語り]が
とても嬉しかった。
改めて読み返したい詩や、マサムネさんが好きだとか、
読んだとか言う詩集や詩人の名前がいくつもあがったので、
radikoを一時停止にしてメモした。

自分が好きだなあと、いいなあと思う人が好んで読むもの、
読んできたもの、聴いてきたものは、
やはり自分でも読みたい、聴きたい。
たとえそれが共感できるものでなくてもいい。
その世界を少しでも知りたいのだから。


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